タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 慎之介の家のチャイムを押す。
 いつもどおり、中でワンちゃんが吠え出した。

『はいはーい?』

 お姉さんではない、その声。

「あっ……藤沢です!」

『ひな子ちゃん! 開けるね〜』

 扉から覗いたのは——。

「久しぶり〜」

「お兄さん! お久しぶりです!」

 しっぽをフリフリしているワンちゃんを抱っこしながら出てきた、慎之介のお兄さんだった。

「お仕事は、お休みなんですか?」

 玄関に上がらせてもらいながら、尋ねる。

「そう。大人の夏休み、取ってんの」

 つい早めに来てしまったものの。
 慎之介の大きなスニーカーは、すでにあった。

(帰ってきてるーっ!)

「元気だった?」

 そう言って、リビングに案内してくれる。
 お会いするのは、ゴールデンウィークに初対面して以来だ。

「はい! 元気いっぱいです」

 わざとらしく眩しそうにしながら「若いなーっ」と笑ってくれる。
 キャラは全然違うけれど、顔は慎之介と瓜ふたつで、なんだか照れてしまう。