タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


 男子たちの輪に戻ると、案の定、興味津々に囲まれた。

「今の、誰っ?」

「同じクラスの、若月さん」

「慎之介が女子と喋ってんの、レアじゃん。漫画借りたん?」

「あー。同じ漫画、好きで」

「趣味合う子とか、最高じゃん!」

「……はあ?」

 俺をよそに、男どもは『いいネタを見つけた』とばかりに盛り上がり始める。

 そこで、蓮沼が「あっ」と手を叩いた。

「若月さんって、前に言ってた慎之介のタイプと完全一致してね?」

「……タイプ?」

「ボブで、スポーティな子じゃなかったっけ」

(全然、覚えてねー)

 髪は長くて、甘々でべったりな『彼女』が、脳内で頬を膨らませてきた。

「若月さん、いーじゃん! ついに慎之介にも、春がくんのか?」

「……ねーから」

 息を吐いて、バスに乗り込んだ。