タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 彼女から告白されたのは、四か月前のバレンタインデー。

 チョコレートをもらっているやつもいたけれど、俺は例年通りゼロのまま帰路についた。
 部活の疲れで、電車で寝落ちして。
 目が覚めたら、ちょうど最寄り駅を過ぎるところだった。

(あー。最悪)

 次の駅で降り、反対側のホームでぼんやりとしていたら。


「南(みなみ)くんっ!?」


 向かいのホームから、声が飛んできて。
 反射的に肩が跳ねる。

「……わっ。ビックリしたー」

 目を丸くしてこちらを見ていたのは、同じクラスの藤沢さんだった。
 そういえば、ここが最寄りだと聞いた気がする。

「なんでここにいるの!?」

「一駅、寝過ごしたー」

 そう返したら「えー!」と笑われた。

 そして。


「……そこで待ってて!」


 彼女はくるりと背を向け、ホーム脇の階段を駆け下りていった。