タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


 部活を終えて家に帰ると、リビングで母と姉がテレビを観ていた。

「慎之介。あんたの学校、このあと出るわよ」

 自分の部屋に上がろうとしたところを、呼び止められる。
 地元のテレビ局が、高校野球の試合結果を放送していた。

『――◯◯高校は延長戦までもつれましたが、惜しくも四回戦で敗退となりました。――』

 負けたことは、さっき学校を出る前に耳にしていた。

「試合観てたけど、結構惜しかったよねー」

 姉が煎餅を頬張りながら言う。

 そして。

(……あ)
「……あっ!!」

 俺の心の声と、姉のでかい声が重なった。

「ひな子ちゃん!」

 指差す先に、一瞬だけうつったのは。
 汗と笑顔を輝かせながら、ポンポンを振って応援する、藤沢だった。

「あらやだ。ずいぶん可愛らしい子だと思ったら、息子の彼女だなんて」

 母が、目を丸くしながら見ている。

「…………」

 母は藤沢と、何度か会ったことがある。

 初めての彼女、しかもああいう華やかな子を、付き合って間もなく連れてきたため、驚いてはいたけれど。
 深く追及されることは、なかった。

 末っ子の息子ということで、程よく放っておかれながら育ってきた。
 高校生男子からすると、有り難くもある。