タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 翌日のお昼前。
 茹だるような暑さの中、私たちを乗せたバスが走り出した。

 これから、野球部の応援に向かう。

「はあ……」

 窓の外を眺めながら、大きく溜息をつく。
 お菓子を頬張るあずさが、こちらを見た。

「しょぼくれてますねえ」

「だって、一週間近く会えないし、メッセージもできないなんて……干からびちゃうよ……」

 小声で愚痴をこぼすと。

「私なんか、夏休み入ってから一度も拝めてないんだからねっ!?」

 そんな文句を返された。

 涌井のことだ。
 何度かあずさに連れられて、職員室を覗いてみたけれど。
 お休みなのか、たまたま席を外しているのか、いつもいない。

「あっ、そういえば……」

 ふと、思い出す。

「昨日、慎に『チアの格好見たい?』って聞いたら、ちょっと怒ってたんだよね。もしかして、やきもちだったりするのかな」

 あずさは、お菓子をぽりぽりと食べ進めながら、こちらをじっと見ている。

「もしそうだったら、ちょっと心配で……」

「……そう言いながら、顔、めちゃくちゃにやけてるけど。本当に心配してる?」

「えっ」

 慌てて、頬を手で覆った。

「心配してる! 不安にさせたくないもん!」

「嘘くさ! 嫉妬させて喜んでるとか、いい性格してんねえ?」

「ちがうちがう!」

 秘密のお喋りに熱中していたら、あっという間に球場に到着していて驚いた。