「これきっかけで、野球部とダンス部のラブとか、あるんですか!?」
近くにいた一年生が、目を輝かせる。
「あるよー。去年のひな子とかねえ」
同期が、衣装を眺めながら悪気なく言った。
私は、苦笑いする。
「まあ、すぐ別れたけどね……」
その呟きに、同期は「ごめん!」と焦り、後輩は「そうなんですね……!」と気まずそうにする。
「あっ……気にしないで! 全然!」
慌ててフォローした。
だって、少しも引きずっていない自分に、罪悪感を抱いてしまうほどなのだから。
元彼の新山とは、夏までは、たまに話す程度のクラスメイトだった。
たしかに大会の応援で仲良くなり、付き合うことになった。
ベンチに入っていなかった彼も、応援側に回っていたから、一緒にいる時間が長かったのだ。
話していて楽しかったし、悪い人じゃない。
だからこそ、気持ちがないのに恋人という『かたち』ではいられないと、思ってしまったのだけれど。



