タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 付き合って一か月の、ホワイトデーの夕暮れ。
 俺があげた、小ぶりなクッキーの詰め合わせを、宝物みたいに抱いてくれていた。

 それで。

 彼女にねだられて、初めてのキスをした。

 照れて視線を落としながら「わあ……」と呟き、にこにこしていた彼女。
 一方で、柔らかい感触と、加減や長さはあれでよかったのかと焦りまくる俺。

(藤沢はきっと、初めてじゃないよな)

 そう感じて、胸がひどく痛んだ。

 そんな、甘くてほろ苦い思い出。

 ◇

 熱い夜風に包まれながら、しばらく喋ったあと。

 家まで送って、帰った。