(…………)
藤沢が好きなのは『俺』?
それとも。
『俺を振り向かせること』?
『秘密の付き合い』?
もし、そうであっても。
彼女が、俺のほうを向いてくれるなら。
まだ、このままでいたい。
まだ、好きでいてほしい。
参道は人でひしめき合って、身動きが取れないくらいになってきた。
「めっちゃ混んできたね。あっち、行く?」
比較的空いている、屋台の裏のほうを指されたけれど。
「……いや……」
小さな手を、そっと握った。
「ここに、いよ」
彼女は驚いたように瞬きをして、俺を見る。
そのまま、みんなが戻ってくるまで。
人混みに紛れて、手を繋いだままでいた。



