「おめでとう!」
蓮沼の声がでかくて、それだけが薄っすらと聞こえた。
「ん? はっすーがひな子に、クマあげてるね」
立花さんが呟いたとおり。
差し出されたぬいぐるみを、藤沢が笑顔で受け取っている。
それから蓮沼が、気恥ずかしそうに何かを切り出そうとして。
藤沢は、それに顔を強張らせていた。
喧騒もあって、内容はまったく聞こえない。
(……なんなんだ)
「あれ。割り込まなくていいの?」
俺と藤沢の関係を知っている立花さんが、飄々とそんなことを言ってくる。
「…………」
何も返せないまま、屋台のおじさんから、当てたお菓子を受け取った。
誕生日プレゼントは、俺もTシャツを用意している。
彼女は『一緒に夏祭りに行けるだけでいいよ』と言っていたけれど、買ったのだ。
でも今は、持ってきていない。
みんなの前では渡せないと、思ったから。



