タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 男子と適当な話をしながら、教室に戻ると。

「おーい、慎之介!」

 そう呼ばれ、奥に目をやる。

 蓮沼だ。
 他にも、数人の男子がいる。

 そして、その横には。

 ——藤沢ひな子。

 蓮沼に手招きされ、ゆっくりと机のあいだを歩いていく。

「……なに」

 輪の前まで来た。

「今週土曜の夕方、空いてる?」

 土曜。

(……って、まさか)


「今、藤沢さんと話してたんだけどさあ。クラスの何人かで行こうぜ、あの神社の祭り!」


 彼女のほうを、ちらっと見る。


「南くんも、よかったら、行こ?」


 あくまでクラスメイト向けの笑顔で、そう言われた。

「……あ、うん」

(諦めてなかったんかい)

 口元が緩みそうになり、咳払いで誤魔化した。