タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


 立ち上がって、腰に手を回して、抱きついた。

「そろそろ、ばれてもよくない?」

「……よくない」

「もう、好きになったでしょ?」

「……なってない」

 胸元に埋めていた顔を上げる。
 彼はおそらく必死につくった冷静な表情で、私を見下ろしていた。

「ていうか。今日も教室で、ガン見してただろ」

「えへ。ばれた?」

 開き直って、背伸びして、キスをする。

「仕方ないじゃん。大好きなんだもん」

「…………」

 まだ、その強がりは解けていない。

 角度を変え、軽い音を立てながら何度もする。

「……おい……」

 制する声を、漏らされるけれど。
 そのまま、流されるように応えてくれる。

 そんな彼が、大好きでたまらない。

 早く素直になってほしいけれど。
 もう少し、このままでもいいかもしれない。

 あずさからは『ヘンタイだね』と言われている。

 否定はしない。

 それに、なりふり構っていられない事情も、あるのだ。

 だって。
 彼にも私のことを、好きにさせないといけないから。

 他の女の子を――好きになってしまったりする前に。