タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 若ちゃんが言ったとおり、相手の三年生チームは圧倒的に強かった。

 バンバン点を入れられていくし、私も含めて未経験者をすぐに察知して、容赦なく狙ってくる。

「……わっ!」

 なんとかボールを拾ったとき、体育館の床に思いきり膝を擦った。

 結構、痛いやつだ。

 点数は『20-3』。全然、負けている。
 そのまま点を重ねられていくのに、クラスメイトはどんどん声援を大きくしてくれた。

(……えい!)

 昨日と同じく、私が必死に返した弱々しいボールが、不意をついたのか、奇跡的に相手コートの前の内側に落ちる。

「ひな子、いいぞーっ!」

 コートのすぐ脇から、あずさの声。
 そして「膝、血出てる!」と心配されて、はじめて気がついた。

 あまり喋ったことのない男子たちまで、なぜか「ひな子!」と呼んでくれている。

 点数は、『24-4』。


 ふと、『彼』と目が合う。

 周りの声に紛れて、だけれど――。


「ひな子!」


 大きく、そう呼んでくれていた。