タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


 藤沢のことは、実はその時点で、もうかなり好きになっていた。
 数日後のホワイトデーに、気持ちを伝えようとさえ思っていた。

 けれど。

『早く好きになってくれないかなー!』

 いつもそうじゃれてくる彼女を、思い出す。

 彼女がただ、『好きと言わない俺を追いかける』という状況を、楽しんでいるだけだったら。

 俺が好きと返したら、どうなる。

 突然こわくなって、なけなしの勇気は、どこかへいってしまった。

 ◇

 水を出しっぱなしにしてぼーっとしていたことに気づいて、慌てて止めた。