タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


 俺は、やらかしたかもしれない。

 昨日、同じクラスの若月さんと、初めてまともに話した。
 教室で彼女が、『キヨシ』のクリアファイルを使っていたのだ。

 作品だけでなく、推しのキャラまで被っているなんて。
 お互い初めて同志に遭遇したものだから、つい早口で愛を語り合ってしまった。

 それを、『彼女』——藤沢は、見ていたらしい。


『ふうん。仲良くなれて、よかったね』


(え、何それ。やきもち?)

(だとしたら、無理)

(可愛すぎて、無理なんだけど)

 いつもは、余裕たっぷりの彼女にちょっかいをかけられ、俺はまんまと振り回されるだけだ。

 だから、なんだか変に浮かれてしまって。

『束縛かよ』

 そんな一言を、送ってしまった。

 すると、返信が止まった。

 時刻は、二十二時。
 寝たかどうかは、微妙なところ。

 今日は頑張っていたから、疲れたのかもしれないけれど。
 直前までやりとりしていたし、向こうからメッセージを送ってきてくれたのに、寝落ちは考えにくい。

(やばい。怒らせた……か?)

 ぐるぐると考えて、なかなか眠りにつけなかった。