「先生のジャージ姿、貴重っ!」
いつも気怠げで、髪も無造作なのに、グレーのスーツだけは皺ひとつなくぴたりと着こなしている人。
真夏でも毎日着ているから、同じものを何着も持っているんじゃないかと噂されている。
「立花さんは、卓球でしたっけ」
褒め言葉をさらりと流し、尋ねている。
「はいい、ジャンケン負けたんですう……」
「ラケットの面を、なるべく動かさないことですね」
「へーっ。先生、卓球得意なんですか?」
「学生時代、ずっと卓球部だったので」
「ええっ!? 初耳!! 先生、私、頑張りますっ!」
あずさの瞳は、さっきまでとは打って変わって、燃えていた。
(ゲンキンなやつめ)



