タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

「――ひな子。溶けてるよ?」

 あずさの声で、我に返る。

「あ。やばっ」

 慌てて、液体になりかけているソフトクリームの続きに戻った。

「明日、水曜日。歴史の授業あるーっ」

「おめでとー」

 あずさは、社会科担当で、クラス担任でもある涌井(わくい)を推している。
 男性で、たしか三十代後半。

 気怠そうで、眠そうなところが、いいらしいけれど。

「どこがいいんだか……」

 空になったカップをコトッ、と置きながら、思わずこぼしてしまうと。
 あずさは、輝く瞳で身を乗り出してきた。

「えっとね!?」

(しまった!)

 慌てて「大丈夫っ!」と片手で制す。
 話し始めると、三十分くらい止まらないのだ。

 あずさは、唇を尖らせる。

「私からすると、南くんの良さのほうがわからないけどね?」

「いいの。わかるのは私だけでっ」

「だってなんか、少年っぽいじゃん」

「いやいや。そこがいいの。今日だってね……」

「はいはい。ストーップ!」

 二人で顔を見合わせ、笑った。