タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


「なに考えてんだよ……っ」

「え?」

 期待通りの反応に、くすくすと肩を揺らして笑う。

 彼が私のうなじに弱いこと。
 そしてそれを、他の男の子に見せたくないと思っていることは、ばればれだ。
 わかっていて、ついその反応を楽しんでしまう。

「だめ?」

「……だめ」

「なんで?」

「…………」

 彼は答えないまま、そっぽを向く。

 相変わらず、意地っ張りだ。

「じゃあ、手首に結んで? ブレスレットみたいに」

 そうお願いすると、『それならまあいいか……』というような表情で結びはじめてくれた。

 やさしい手つき。

 その指先をじっと見つめながら、口を開いた。

「ねえ、慎」

「ん?」


「卒業式も無事終わったし……『卒業旅行』、楽しみだね?」


 ぴたり、と彼の手が止まる。

「……周りに聞こえたらどうすんだよ」

 じろりと見られた。

 春休み――二人きりで、少し遠くへ泊まりがけで出かける。
 そのことを知っているのは、あずさと蓮沼くんだけ。