タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 そして、一年と少しが経った。

 春めいた柔らかい日差しに包まれながら。
 私たちは、卒業式を迎えた。

 式を終えても賑やかな校舎。
 生徒たちが、クラスごとのお別れ会まで時間をつぶしているのだ。

 私はあずさとともに、『彼ら』を探して廊下を歩いていた。

「若ちゃんの答辞、泣けたあっ」

「ね〜っ」

 ある教室を覗くと、男子たちが集まって騒いでいた。
 サッカー部のメンバーだった。

 その中にいる、ひとりを。
 私は、すぐに見つけた。

「慎っ!」

 弾んだ声で呼び、小さく手を振ると。
 彼は、すぐにこちらへ歩いてきた。

 隣にいるあずさは、はしゃぐ私とは対照的に、気恥ずかしそうな表情でいる。
 慎之介と一緒にやってきた――蓮沼くんに向かって。

 あずさは、推しに対してはあれだけきゃあきゃあ言うくせに、恋人の前ではいつまでも初々しい。