タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 しばらくして。
 階段を上ってくる足音が聞こえ、慌てて適切な距離をとる。

 ――コンコン。

「……ハイ」

 平静を装って応えると、ドアが開いた。
 顔を覗かせたのは、母だ。

 藤沢が、ぺこっと頭を下げる。

「ちょっと、スーパーに買い物行ってくるから」

 それは、つまり――。
 家に二人きりに、なる。

「あ……うん。ハイ」

 返事がたどたどしくなってしまった。

 すると。
 そんな俺を、母はじっと見てきた。

「な、なに」

 思わず、どもってしまう。


「すぐ、帰りますからね?」


 妙な微笑みでそう言い残した母は。
 ゆっくりと、下りていった。

「…………」

「…………」

(牽制されとる……)

 すぐに、玄関のドアが閉まった音が聞こえて。
 息を吐いた、そのとき。

「……っ!?」

 横から、思いきり抱きつかれたと思ったら。
 そのままぐっと、身体が倒された。