タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


 彼女は「きゃー!」と腕に抱きつき、身体をゆさゆさ揺らしてくる。

『好き』と返したら、彼女の熱が冷めるんじゃないか。
 そう何か月も悶々と悩んでいたわけだが、どうやら杞憂だったらしい。

 安堵しつつ、思いきって聞いてみる。

「……藤沢って、追いかけたいタイプだったりすんの」

「え?」

 キョトンとされる。

「なんで?」

「なんとなく……」

 彼女は不思議そうに、しばらく考えていたあと。

「まあ、『自分が大好きになった人と付き合いたい』とは、思うかな。そういえば慎と付き合う前、そんなこと友達に話してたかも」

 ぱっと顔を華やがせ「願い叶ってた!」とはしゃぐ。

「追いかけられると冷める……とかは?」

 重ねて、聞いてみた。

「えっ?」

「…………」

「? よくわかんないけど、慎のことは、追いかけるのも追いかけられるのも好きっ」

 そう言って、にこっと笑った。