「えっ? あ、うん」 「どこにある? 机?ロッカー?」 「ロッカーだけど……」 「おけ」 彼は、すっと教室に入っていった。 「あれ? 南じゃん。どうしたの」 「傘。降ってきたから」 「げ。マジかよ」 軽い会話が聞こえたあと、彼はすぐに出てきた。 二つの折りたたみ傘を、その手に持って。 「ハイ」 「あ……」 「じゃあなー」 差し出すと、もう歩いていった。