タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 帰りの飛行機に乗り込んだ。
 通路に立つ涌井が、もうエネルギー切れの顔で点呼している。

「慎。これいるっ?」

 買ったばかりのマンゴー味の飴を、横にいる彼へ差し出した。

「……あー、うん」

 慎之介は気恥ずかしそうに、私の手のひらから、ひとつを取った。

 今、私たちは、並んで座っている。
 あずさがにやり顔で「どうぞ♡」と自分の席を慎之介に譲ってくれたのだ。

 そしてあずさは今、慎之介の席――蓮沼くんの隣に座っている。
 交換してから気づいたのか、妙に背筋を伸ばした後ろ姿からも、動揺しているのがわかる。

(ふふ……)


 慎之介のすぐ横の通路を、同級生たちが進んでいく。

「お幸せにっ!」
「見せつけんなよー」

 からかわれたり、ちらちらと視線を向けられたりする。

「付き合ったばっかりの距離感じゃなくね?」

 私があまりにもにこにこと彼に話しかけていたせいか、そんなふうに怪しまれたけれど。

「ハハハ」

 ひとまずは、適当に誤魔化しておいた。

「…………」

 慎之介は、無言で飴を口に含んでいた。


 そんなとき。

「ひな子、南くん」

 ひとつ前に座っていた若ちゃんが、ひょっこり顔を出してきた。