(か、わいい……)
デレてしまいそうになるものの。
慌てて、我に返る。
「……うん。私のほうがもっと狭いから、大丈夫だよ」
単なるフォローではなく、事実を伝えておいた。
「…………」
再び歩き出した彼の隣に並び、見上げる。
「はやく二人きりになって、くっつきたいね。へへ」
「…………」
緩みっぱなしの顔で私が言うと、彼はいつもの咳払いをひとつした。
「帰ったらいつ……慎の部屋、行っていい?」
わざと含みを持たせながら、尋ねるけれど。
「……しばらく、だめ」
――却下された。
「ええ!? なんでっ!」
「暴走しそうだから」
「がんばって抑えるからっ!」
「…………」
すると。
彼は目を逸らしながら、聞き逃しそうなほど小さな声で言った。
「藤沢だけじゃ、なくてさ……」
「……ええ!?」
その台詞に浮かれすぎて。
余計しつこく迫ってしまった気がする。



