壁に背中をつけて、どうしたものかと立ち尽くした。
傘は諦めて帰ろうか、とも思ったけれど。
廊下には、本降りになってきた雨音が響いている。
すると。
階段のほうから足音が近づいてきた。
「藤沢さん?」
それは、同じクラスの男子。
『南くん』だった。
サッカー部で。
教室で騒いでいる集団の中にいる人。
喋ったことは、たぶん数えるほどしかない。
南くんは私を見たあと、教室の中にちらりと視線を移した。
そして。
「傘?」
ただ、そう聞いてきた。
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