タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


 なかなか動き出さない私たちを不思議に思ったのか、クラスメイトが何人か集まってきた。

「でも、一緒にまわるのって……カップルだよ?」

 みんないるのに。
 思わず、そう言ってしまった。

 彼の口から聞きたくて――咄嗟に出た言葉だった。

「…………」

 それは少し、意地悪な確認だったかもしれない。

 けれど、慎之介は。
 少しも視線を逸らさずに、言ったのだ。


「じゃあ……付き合ってください」


「…………」


「俺は……藤沢さんが好きなんで」


 隠しきれない恥ずかしさを滲ませながらも。
 まっすぐに私の目だけを見て、伝えてくれた。

 それは。
 これまで見た中でいちばん、好きな顔だった。