タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


 バスのステップを降りた瞬間、南国の日差しを肌で感じた。
 見渡す限りの、青空だ。

 修学旅行の最後は、国際通りでの自由行動。
 交差点の向こうには、風に揺れるヤシの木やカラフルな看板が見える。

 降りた順から班ごとに分かれ、通りへ向かう。

「私、紅芋ソフトは絶対食べたいんだよねえ……」

 あずさはそう言って、マップを握りしめている。

 ふと、肩を並べて歩き出す男女がちらほらいることに気づいた。
 カップルは、班を抜けて二人きりでまわるのがお決まりらしい。

「ずりーぞー!」
「楽しんでねー!」

 周囲からそんなふうにからかわれて。
 照れながらも、嬉しそうに去っていく。

 その姿を、眺めていた。


 ちらりと振り向く。

 少し後ろのほうに、慎之介はいた。
 蓮沼くんや若ちゃん、班のメンバーと一緒だ。


 前の私、だったら。
 こっそり『一緒にまわろ♡』などと囁いて、彼を慌てさせて、デレていたかもしれない。

 でも、今は。

(…………)