そして、階段を下りきり、藤沢の前に現れると。
彼女は少し驚いていた。
「……『南くん』。どうしたの? 」
そう言って、自販機の前から一歩どく。
「…………」
小銭を何枚も入れて。
マンゴージュースのボタンを、必要以上に強く押した。
――ガタンッ。
ペットボトルが勢いよく落ちたところで。
自販機を見つめたまま、ぼそりと言い放った。
「……浮気してんじゃねーよ」
藤沢は、いつもよりだいぶ低い声で「え……?」と聞き返してくる。
「……なにそれ。南くんに言われたくなーい」
「は?」
「“みなわか”とか、可愛いカップリング名までゲットして」
「あんなの、近藤が冗談でつけてるだけじゃん」
「いつも二人で仲良くしてるから、つけられるんだよ。なんでわかんないかなー?」
「…………」
そう言って、階段を上り始める。
史上最高に――怒っている気がする。



