タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 廊下は、静かだ。

 ゆっくりと階段を下りていく。
 自販機が見えたところで、その前に立つ人物に気づいた。

 私を見た彼も、静かに目を見開く。

「……おー」

 新山だった。

「……なんで、ここにいるの?」

 ここは、女子部屋のある棟だ。

「クラスの女子の部屋で、みんなで集まってたんだけどさ」

 小銭を入れながら、言う。

「なんとなく、抜けてきた」

 ボタンを押すと。
 ガタン、と音を立てて、ペットボトルが落ちてきた。

 そして、「どーぞ」と、自販機の前からどいてくれた。

「…………」

 ちょっと、気まずさを感じながら。
 ポケットから小銭を取り出し、入れていく。

 新山は、飲み物を買い終わったのに、私の真横に立ったままだ。

「戻らないの?」

「…………」

 尋ねても、黙っている。

 落ちてきたさんぴん茶を取ろうと、身を屈めたとき。


「俺ら、ヨリ戻さない?」


 そう、言われた。