タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


 それを聞いた若ちゃんは「ちょっと!」と声を上げる。

「その呼び方、もうやめてって! 南くんに迷惑だから!」

 そう言って、ちらちらと慎之介のほうを気にしている。

 一方の慎之介は。

「若月さんと俺、そんなんじゃねーって……」

 控えめに、そう言うだけだった。

 また、胸の奥がちくりと痛む。


(私とのことは、内緒にしたいって言ってきたくせに)

(若ちゃんとからかわれるのは、別に平気そう)


 近藤くんが「じゃあさ」と、面白がるように身を乗り出す。

「若月さん的には、どうなの? 南は」

 蓮沼くんが「近藤、しつけーぞ」と制するものの。

「恋愛とかじゃなくて、クラスメイトで推すなら、南くんかな? いい人だし、キヨシにちょっと似てるし」

 若ちゃんはあくまでも軽いノリで、そうかわした。

「出た、『キヨシ』!」

 みんなが笑う。