「昨日の『予定』は? 楽しかった?」
「うん! それも楽しかった」
部屋で擦り寄る私に呆れながらも、彼の口元は緩んでいた。
思い出すと、たまらない。
帰りだって。
同級生に見られたときのための変装として、わざわざ私服に着替え、キャップを深く被って。
いつものように、私の家の近くを走るバスの停留所まで送ってくれた。
「なに、にやけてんのよ」
あずさに突っ込まれる。
「えへ。いろいろ、思い出して」
ソフトクリームをひとくち頬張り、「あー」と宙を見る。
「早く『俺も好き』って、言ってくれないかなあ」
きっと『満更でもない』というのは、ああいう顔のことだと思うのだ。
「でも、我慢してる顔も可愛いから、それを見られなくなるのは、惜しいんだけど……」
「……南くんも、大変だね。ひな子みたいなのに、捕まっちゃって」
「開花させたのは、慎だから!」
そう返したら、声を出して笑われた。



