タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

「ひな子ーっ!」

 マリンスポーツを満喫したあずさが、木陰に駆け寄ってきた。
 頬を膨らませている。

「なに?」

「涌井先生と、二人で喋ってたでしょ!?」

(あ)

「見えたんだ」

「見えたっ!」

「ごめんごめん」

「ずるいっ!」

 ぷんぷんしながら、隣に腰を下ろした。
 潮の香りがする。

「……なんの話してたのっ」

「えー、なんだっけ」

 宙を見て、誤魔化すものの。
 じろり、と見られる。

「ごめんって」

「…………」

「あずさ?」

 黙ったままの横顔を覗くと、あずさは「いや、あのさ……」と口を開いた。

 そして。


「ひな子、何か悩んでる?」


 そう、問いかけてきた。