見学の理由は、聞かれない。
なんとなく察しているのかもしれない。
そのまま、私の斜め後ろに立って、海のほうを見ていた。
しばらくして、ハッとする。
「……ちょっと、先生。ここにいないでくださいよ」
「なぜです?」
「あずさに見られたら、怒られるんで」
『ひな子っ!! さっき先生と二人きりで何話してたのっ!!』
そう追及される様子が浮かんだ。
今ならまだ、彼女はバナナボートに夢中で、気づいていないはずだ。
涌井は「ああ」と言ったあと。
「それなら、大丈夫でしょう」
「なんでですか?」
「…………」
言葉では、何も返してこないけれど。
『だって立花さん、本気じゃないですから』
そう言っている顔に、見えた。



