タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


 とっても爽やかな、南国の空気に包まれながら。
 ふと、家のことが頭をよぎった。

 両親は、きちんと話をしてくれただろうか。

『このままの二人でいるなら……私、おばあちゃんちの子になるから』

 あんなふうに言い捨てて、出かけてきてしまったけれど。
 帰っても何ひとつ変わっていなかったら、どうしよう。

 そんな不安から逃れるように、祖母の顔を思い浮かべた。

(なんか、暗いなあ。私)


 ひたすらぼうっとしていた、そのとき。


「見学ですか」


 後ろから、声をかけられた。

「あ……はい」

 涌井だった。

 全然沖縄っぽくない、カーキのTシャツを着ている。