タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 班行動を終え、今日から最終日まで二泊するホテルに到着した。

 部屋に入ってボストンバッグを床に置き、ようやくひと息つく。

「はー。疲れた」

 ベッドの縁に腰を下ろした瞬間。

「で?」

「……うわっ」

 後ろから、ガッと肩を組まれた。
 蓮沼だ。


「誰なんだよ? 『好きな子』!」


「…………」

 にんまりと、笑みを浮かべている。

「俺だけ知られてんの、不公平じゃん」

「…………」

 別に、蓮沼が立花さんを好きなことは、こちらから聞いたわけではないのだけれど。

「他のやつら来る前に、教えろっ」

 逃がす気ゼロだ。

(なんで、口滑らせたりしたんだか……)

 やや後悔しながらも。
 観念して、息を吐いた。

 そして。


「……藤沢、さん」


 その名前を、明かした。

「…………」

 肩に回っていた腕が、ゆっくりと離される。

 蓮沼は、ぽかん、としていた。

「……なんだよ」

「いやあ……」

 じっと顔を見られる。


「結構、無理めなとこいくんだなって」


「…………」

(…………悪かったな!)

 実は、付き合ってるんだけど。
 何も返しようがない。