タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


「慎之介。なに、スマホぽちぽちしてんの」

 そうしたら、蓮沼にツッコまれた。

「誰かとメッセージ?」

「…………」

 小さく息を吸ったあと。
 俺は――口を開いた。


「……好きな子」


 車内に、しばしの沈黙が流れた。

「……はあっ!?」

 見事に裏返った、蓮沼の声。

「なんなん急に!? 初耳なんだけど!?」

「…………」

「ずっと『女子にも恋愛にも興味ありません』みたいな感じだったじゃん!」

 横から、ぐいっと顔を近づけられる。

「えーっ。南くん、好きな子いるの!?」
「うちのクラス!?」

 若月さんたちも、一斉に食いついてくる。

(しまった……)

 自分でも、なぜだかわからないけれど。
 後先考えず、こぼしてしまった。

「あー、えーっと……」

 どう収集をつけようか、焦っていたとき。
 スマホが震えた。

 手元の画面に視線を落とす。


『じゃあ、班行動楽しもうね』


 彼女からの、短い返信だった。

「あ……終わらされた」

 思わず呟くと、蓮沼に笑われた。

「なにそれ。かわいそう!」

 結局、それ以上は口を割らない俺のことは置いておき。
 話題はいつの間にか、恋バナ全般に移っていた。

 夜、男子グループが女子の部屋に遊びに行ったり、カップルが国際通りを一緒にまわったりするのが、お決まりなんだと聞いた。