タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 水族館を楽しんだあとは、班ごとの行動になる。

 少し離れたところに停まっているタクシーに、藤沢が乗り込むのが見えた。
 浮かれた様子の近藤が、それに続いている。

(あいつ……ほんと馴れ馴れしい)

 内心、毒づく。

 そうして藤沢たちは、先に出発していった。

 俺も、蓮沼や若月さんたちと同じタクシーに乗り込んだ。
 カーラジオから、沖縄民謡らしき音楽が流れている。

 運転手さんは気のいい人で、車内はすぐに盛り上がった。

(…………)

 ポケットからスマホを取り出す。

『さっき、薬飲んでなかった?』

 藤沢に、そう送った。
 バスで見かけたのだ。

 テンションが低いように見えるし。
 具合が悪いのかもしれない。

『頭とおなかが、ちょっと痛いだけだよ』
『大丈夫だよ』

 その文面から、ひしひしと『距離』を感じる。

 たとえば、少し前なら。

『心配してくれてありがと! やさしい♡』

 こんな感じだったんじゃないか。

 彼女の、俺への気持ちは――変わってしまったんじゃないか。

 そんな不安が、込み上げて。
 そうじゃないって、確かめたくて。

 だらだらとやり取りを続けてしまう。