那覇のホテルを出発する前。
目の前で、藤沢が蓮沼と喋っているのを、じっと見ていた。
「バイバイ」
彼女は、あの微笑みを見せると、去っていった。
「……結局、なんの話だったの」
蓮沼と二人になり、再度尋ねる。
「あー……」
少しだけ周囲を確認した蓮沼は、小声で言った。
「俺、立花さんに告白した。その話だよ」
思わず「え」と声が漏れる。
「マジ?」
「おうよ。でも、それから全然目が合わない。ミスったかも……」
心なしか、その顔は青ざめている。
「返事は?」
「保留にしてもらってる……」
しょげている姿に、妙に親近感が湧いてしまった。
「……なんで、言えたの」
「退路断ったほうが、頑張れると思ったんだよ!」
開き直ったように、声のボリュームが上がった。
「でも、目も合わない状態でグイグイいけるほど、俺は強くなかった……」
バスのほうに向かいながら、蓮沼は「あー」とか「んー」とか唸っていたけれど。
「おまえ……格好いいな」
思わず、ぼそりと褒めた。
「え……急になに」
眉をひそめ、怪訝な顔をされた。



