タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 重いボストンバッグを肩にかけて、部屋を出た。

 エレベーターを降りると、バス乗り場へ向かう大勢の生徒で、ロビーがごった返していた。

 そこで、慎之介と蓮沼くんに鉢合わせた。

「あ」

 蓮沼くんと目が合う。
 彼の言いたいことを察して、小さく頷いた。

「……早まったかな?」

 少しだけ距離を詰め、尋ねられた。
 きっと、あずさへの告白のことだ。

「うーん。そんなことも、ないと思うよ?」

「えーっ。どういうこと!?」

 焦る彼を、微笑ましく見ていると。

「……なんの話?」

 慎之介が、横から尋ねてきた。

 蓮沼くんは、おでこをぽりぽりと掻きながら「いやあ……」と言い淀む。

 背後から、遅れてやってきたあずさの声が聞こえた。
 蓮沼くんと慎之介に「バイバイ」と告げ、私はその場を去った。