タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 翌朝。
 ホテルの開放的なホールで、朝食をとる。

 バイキング台の前で、お皿を持ったままぼんやりしていたら。

「迷ってんなら、どっちも取れば」

 横から、話しかけられた。

「…………」

 新山だった。

「いや……そういうわけじゃないんだけどさ」

「じゃあ、なに。夜更かしして眠いとか?」

「ううん。昨日、八時に寝た」

「八時!?」

 目を丸くされる。

「それは逆に、修学旅行ムダにしてんだろ」

「あはは。たしかに」

 思わず、小さく笑った。

 文化祭の少し前くらいから。
 新山は、たまにこうして何気なく話しかけてくるようになった。
 別れてからしばらくは、目すら合わなかったのに。

 近くにいた何人かが、ちらちらと私たちを見ていることに気づく。

(『元カレと元カノが喋ってるー』とか、思われてるのかな)

 なんとなく、居心地が悪くなる。

「……それじゃあ」

「おー」

 短く挨拶して、自分のテーブルへ戻った。