タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


(こいつ……また面白がってんな……)

 そっぽを向いて、少し歩くスピードを速めた。
 藤沢の横から、蓮沼の斜め後ろへ。

 すると。


「南くん」


 軽やかな声で、呼び止められる。

「……何?」

(別に、動揺とかしてませんけど?)

 精一杯そんなふうに装って、振り向くと。

 すっ、と差し出された。


「はいっ。落ちたよ?」


 それは――俺のタオルだった。


「……あー。ありがと」

 受け取るとき、わざと指先をかすめられ、タオルと共に慌てて引っ込める。

 彼女は、笑っていた。
 面白がられている、完全に。

 この楽しげな顔は――いつまで俺に向くのだろうか。