タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


「……おはよー。南くん」

 少し驚きながら、笑顔で返す。
 みんながいるところで、彼のほうから声をかけてくるなんて、珍しいから。

 慎之介は、ライブの夜以降も、普通に接してくれている。
 二人きりでは会えていなくて、メッセージのやり取りだけれど。
 母のことは深追いせず、改めて『一緒に行ってくれてありがとう』と言ってくれた。

 私から話したほうがいいのかなとも、考えたけれど。
 ぐるぐる悩みすぎて、よくわからなくなってきている。

 ふと、彼のすぐ横にいる蓮沼くんに気づく。

 こちらは逆に、妙に静かだ。
 普段は、明るく挨拶してくることが多いのに。

 不思議に思っているうちに、搭乗口へ向けて列が動き出した。

 ぞろぞろと歩いている途中。
 周囲との間隔が少し開いたところで、あずさが私の袖を引く。

「ねえ、ひな子」

 やけに声を潜めている。

「なに?」

「あのさ……」

「うん」


「昨日、はっすーから告白されたんだけど……」


「……えっ!?」

 思わず大きな声が出て、慌てて口を押さえた。