タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 それから数日、母とは口をきかなかった。

 顔を合わせても、目を逸らされる。
 こちらからも、話しかける気になれなかった。

 修学旅行へ出発する朝。
 支度を終えて玄関に立つと、父が心配そうな顔で見送りに来た。

「いってらっしゃい」

「……うん」

 スニーカーの紐を結びながら、考える。

 立ち上がって、振り返った。

「お父さん」

「……ん?」

「私が修学旅行でいないあいだ、お母さんと、ちゃんと話し合っておいて」

 父の顔が、少し強張る。

「このままの二人でいるなら……私、おばあちゃんちの子になるから」

 そう言い放って、玄関を出た。