タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 やがて、藤沢の家が見えてくると。
 玄関先に、人影があった。

 彼女の母親らしき女性。

 目の前までいくと、その口が開かれた。

「ひなちゃん」

 声が、冷たい。

「…………」

「遅くなってしまって、すみません」

 黙ったままの藤沢の横で、頭を下げた。

 母親が何かを聞いてくる前に、藤沢は俺のほうを見て「友達」と言った。

 けれど。


「もしかして、お付き合いしてるの?」


 鋭い瞳で、そう確認される。
 
「だから、友達だよ。じゃあ、送ってくれてありがとね。バイバイ」

 藤沢は『クラスメイト向け』の笑顔で、手を振ってきた。

 しかし、母親は言う。

「彼氏でしょ?」

「…………」

「こんな遅い時間まで、女の子を連れ回すのはどうかと思うけど……」

「すみません」

 素直に、頭を下げると。


「……ちがうっ!」


 藤沢が、声を張り上げた。