タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 電車の中でも、藤沢のスマホは定期的に震えていた。

 何度も断られたものの、彼女の最寄駅で一緒に降りる。

「本当に、一人で帰れるよ……!?」

「暗いから、送るって」

 俺を追いながら、必死に声をかけてくる。

(なんか……焦ってる?)

 強引かな、と思いつつも。
 街灯の少ない道が気になって、そのまま進んだ。

 途中まで来たところで、彼女が言う。

「あのさ……っ」

「うん」

「もし、お母さんに会っても……付き合ってること、言わないでね」

「え?」

 思わず、振り返る。

「彼氏いること、親には話してないから」

「あ……そうだったな」

(今さらだけど、なんでだろう)

 そう思っていたら、彼女は続けた。

「お母さん、ちょっと過干渉で……慎に迷惑かけたくないから」

「迷惑って?」

「……いいから。内緒にしてて?」

 よくわからないまま、頷いた。