タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 やがて、照明が落ち、歓声が一気に膨らむ。

 ステージに人影が現れ、最初の音が鳴った瞬間。
 全身に、震えるような感覚が走った。

 ずっとイヤホン越しだった声。
 何年も、何度も繰り返し聴いたメロディ。

 藤沢のことを考えて聴いていた曲も、ある。

 それが今、目の前で奏でられている。

 夢中になりながらも。
 時折、隣を見た。

 ほのかな照明に照らされた横顔。
 楽しそうにステージを見つめている。

 俺の視線に気づくと、にこ、と笑った。

(…………)

 同じときに、同じものを楽しんでくれている。
 それが、たまらなく嬉しかった。


(……好き)


 そんな言葉が、勝手に浮かんできた。