タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 それから、中間テストも終わった数週間後。

 すっかり秋めいた、土曜の夕方。
 電車に乗り込み、空いている座席に腰を下ろす。

 一駅進んで、ホームに停車する。

 ガラス窓の向こうに、彼女の姿があった。
 俺に気づき、胸元で小さく手を振っている。

「慎っ」

 乗り込んできて、隣にふわりと座った。

「…………」

 オレンジとイエローのチェックシャツ。
 デニム生地のロングスカート。

 いつもの格好と、ちょっと違う。


(かわい……)


 何度か横目で見ていたら。

「ライブって、行ったことなくて。一応、それっぽい服にしてみたんだけど。どうかなあ」

 そう尋ねられた。

「……いいんじゃない」

「可愛い?」

「…………」

 答えずに前を向くものの。
 藤沢は「ふふっ」と笑った。

「……なに」

「ううん?」

 ある場所に、視線を向けられていることに気づく。

 ――耳だ。