タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

「いただきま……」
「いただきまーす!」

 兄の声がでかすぎて、俺と藤沢の挨拶はほとんどかき消された。

 適当な番組が流れるテレビをつけたまま、四人で食卓を囲む。

 母は時々「修学旅行はどこをまわるのか」みたいな、軽い話題を振ってきた。

 藤沢は、最初こそ緊張しているようだったものの。
 いつの間にか、普段の笑顔を見せていた。

 兄も姉も、昔からよく恋人を家に連れてきていた。
 そのまま夕飯を食べていったり、母と普通に喋っていたり。

 だから俺も、藤沢を家に呼ぶことにあまり抵抗がなかったのかもしれない。
 もちろん、学校のやつらに見つからない場所で会うという事情もあったけれど。

 ちら、と隣をうかがう。

(無理してねーかな)

 急に夕飯に誘ったりして、気を遣わせていないか心配になったけれど。
 藤沢は、母の作った煮物を口に入れ、リラックスしているように見えた。

 その顔に、ほっとした。