「怒ってないよ?」
「じゃあ、なに」
「なんでもないってー」
「…………」
そして、また沈黙。
所在なく指を絡めながら、私は口を開いた。
「……ただ」
「…………」
「慎は蓮沼くんと違って、同じ班になれなくても残念そうじゃないなって、思っただけ」
彼は「え? 何それ」と眉間に皺を寄せる。
そして、低い声で続けた。
「……ていうか。やっぱり、付き合ってるって言っとけばよかったんじゃないの?」
「…………」
「そしたら、組みやすかったのに」
わかっている。
本当に、その通りだ。
慎之介は『みんなに言う?』と提案してくれた。
断ったのは、私。
「……そうだよね。だから、私の自業自得なの」
「いや、そういう意味じゃ……」
感じ悪くしたくないのに。
最近、感情のコントロールが、難しい。
空気が一気に重くなった、そのとき。
コンコン。
部屋のドアがノックされる。
ガチャ。
返事をする前に、開かれた。



