立ち上がって、本棚へ向かう。
手に取ったのは、あのバレー漫画の十七巻。
いよいよ、あの『キヨシ』が登場する。
ページをめくっていくと、現れた。
(…………)
彼は、慎之介にとてもよく似ていた。
真面目で、控えめで、恥ずかしがり屋。
でも、優しい。
(…………)
若ちゃんは、キヨシが大好き。
(もしかして。若ちゃんって、慎みたいな人がタイプだったりするのかな)
胸の奥が、ざわざわする。
途中まで読んで、そっと閉じた。
「あれ。いいとこなのに、終わりにすんの?」
「休憩」
「……? そう」
しばらく、沈黙が流れたあと。
「……修学旅行の班のことで、怒ってんの?」
静かに、尋ねられた。



