タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


 文化祭で、ネクタイを結んであげたときのことを思い出す。

『……みんなに言う? 付き合ってること』

 秘密にしたがっていたはずの慎之介のほうから、そう言ってくれた。

 少し前の私なら、迷わなかったかもしれないけれど。

『無理、しなくていいよ』

 そう、返してしまった。

 やっぱりあのとき、『うん』って、言えばよかった。
 時間が経つにつれて、後悔がじわじわと膨らんでいく。

 でも。

『好きになったっていうか……』

 あのときの、慎之介の顔。
 困っているようにしか見えなかった。

 それで、続きを聞くのがこわくなって。
 一歩引いてしまったのだ。